業務の効率化、生産性向上、そして人手不足への対応——これらの課題に、多くの企業が頭を悩ませています。そんな中、近年注目を集めているのが「AI」と「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を組み合わせた業務自動化の手法です。
本記事では、AIとRPAの違いや連携によって何が実現できるのか、具体的な活用例と導入のポイントをご紹介します。
RPAとは、人間がパソコン上で行っている定型業務をソフトウェアロボットが自動で実行する仕組みのことです。
たとえば、以下のような繰り返しの作業が得意です:
・Excel間のデータ転記や集計
・受発注情報の登録と確認
・定時に行う帳票出力・送付
・複数サイトからの情報収集
「人がルール通りに処理していた仕事」はRPAがそのまま代行できるため、大幅な時間短縮が見込めます。
RPAは「ルールが明確な作業」は得意ですが、「判断を要する作業」には対応できません。
そこで、AI(人工知能)の出番です。
AIを組み合わせることで、以下のような“曖昧な処理”にも対応可能になります:
・手書き文字の読み取り(AI-OCR)
・お問い合わせの意図分析(自然言語処理)
・膨大なデータから傾向を予測(機械学習)
つまり、「AIで認識・判断」し、「RPAで処理を実行する」ことで、業務自動化の領域が一気に広がります。
① 請求書処理の自動化(AI-OCR × RPA)
背景と課題:
多くの企業では、毎月数十〜数百枚の請求書が届き、経理担当が目視で金額や日付をシステムに手入力していました。人的ミスや作業の属人化も問題に。
AI × RPAによる解決:
・AI-OCRが請求書の画像を解析し、取引先名・日付・金額を自動で抽出
・RPAが抽出データを基幹システムに入力し、登録・保管処理を実行
導入効果:
・月300件の請求書処理にかかっていた作業時間を80%削減
・手入力によるミスがゼロに近づき、監査対応もスムーズに
② お問い合わせ対応の自動仕分け(自然言語AI × RPA)
背景と課題:
カスタマーサポート部門では、日々大量の問い合わせメールやフォーム対応が必要。内容の分類・担当者への転送が負荷に。
AI × RPAによる解決:
・AI(自然言語処理)が文章を解析し、「クレーム」「発注」「納期確認」などのカテゴリに自動分類
・RPAがメールを該当部署に振り分け、テンプレート文の返信も自動生成
導入効果:
・一次対応の工数が約70%削減
・緊急案件への反応が迅速化し、顧客満足度が向上
③ 売上レポート作成・配信の自動化(AI分析 × RPA)
背景と課題:
各店舗や拠点の売上データを集計し、レポートとして本社に報告する業務が属人化。ミスや遅延のリスクが高い状態。
AI × RPAによる解決:
・RPAが毎日売上データをPOSシステム・Excel・クラウドから収集
・AIが売上傾向・前年比の差異・異常値を分析し、グラフを自動生成
・RPAがレポートをPDF化し、関係者にメール配信
導入効果:
・1日2時間かかっていた作業が10分未満に短縮
・拠点別の売上傾向をリアルタイムで把握でき、戦略判断が早くなった
④ ECサイトのレビュー監視と分析(AI感情分析 × RPA)
背景と課題:
EC運営チームは日々投稿されるレビューやSNSの声を手作業で確認。顧客の不満やトラブルへの初動が遅れがち。
AI × RPAによる解決:
・AIがレビューやSNS投稿を収集し、ポジティブ/ネガティブの感情を判定
・RPAがネガティブな投稿を抽出し、担当チームに通知、対応履歴を管理台帳に記録
導入効果:
・クレーム対応の初動が即日から数時間へ短縮
・ブランドの信頼感向上、レビュー評価の改善につながった
1.小さく始めて成果を出す
→ 「全社導入」ではなく、効果の見えやすい小さな業務から始めましょう。たとえば「請求書処理」「レポート作成」などはおすすめです。
2.現場を巻き込む
→現場担当者の意見を無視すると、「使いにくい」「結局手作業が残る」といった失敗につながります。PoC(試験導入)を通じて理解を得ましょう。
3.継続的な改善が鍵
→ AIモデルは継続的な学習が必要ですし、RPAも業務変更にあわせて更新が必要です。定期的な運用見直しが成功のカギです。
AIとRPAを組み合わせた「ハイブリッド自動化」は、単なる作業の効率化にとどまらず、組織全体の働き方改革をもたらす強力な武器になります。
属人化しやすい業務、繰り返しが多く手間のかかる業務、そして判断が求められる作業——そのどれもが自動化の対象になります。
まずは一つ、自社の「面倒だけど重要な業務」に着目してみてください。そこが、未来の業務改革への入り口になります。